日本脳卒中データバンク

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広島脳卒中セミナー 2002年2月9日 ホテルセンチュリー21広島

翠清会梶川病院神経内科における脳梗塞の治療成績
– JSSRSのデータベースソフトを用いた検討 –

野村栄一,日地正典,梶川 博

 

■目的

厚生労働省の21世紀型医療開拓推進事業「脳卒中急性期患者データベースの構築に関する研究(JSSRS)」(主任研究者 小林祥泰教授)の研究班が制作したデータベースソフトを用い,当院神経内科の2001年の脳梗塞入院患者のまとめを行うこと。

■対象・方法

2001年に当院神経内科に脳梗塞の診断で入院した43例を対象とした(平均年齢71.8歳,男性20例,女性23例).JSSRSのデータベースの項目に加え入院中の診療報酬点数についても入力し検討した。

■結果

43例の内訳はアテローム血栓性脳梗塞(AI)16例,心原性脳塞栓(CI)13例,ラクナ梗塞(LI)10例,その他4例であった。全症例の平均入院日数は44.5日間で平均の診療報酬点数は97928点であった。入院時のJapan Stroke Scale(JSS)の得点と診療報酬点数の間には弱い正の相関家関係を認めた。入院日数と診療報酬点数の間には非常に強い正の相関関係を認めた。また臨床病型別の平均入院日数,診療報酬点数入院時および退院時のJSSはそれぞれ,AI で52.3日,111216点,7.7,3.1,CIで56.3日,116689点,10.3,9.0,LIで24.5日,62764点,1.5,0.2であった。

■結論

ラクナ梗塞はアテローム血栓性脳梗塞や心原性脳塞栓に比べ入院期間は半分以下,診療報酬点数も約半分であった。アテローム血栓性脳梗塞と心原性脳塞栓では入院期間や診療報酬点数はほぼ同じであったが,心原性脳塞栓の方が,転帰不良例が多く見られた。また,診療報酬点数は入院時重症度とある程度相関をみとめたが,入院日数とはほぼ直線的に相関した。